扶養手当について解説
この記事でわかること!
- 扶養手当とは
- 扶養手当の支給対象と手当額
- 所得制限に注意
- 申請に必要な手続き
- 支給の始期
- 給与担当が教える損しないための方法
- まとめ
扶養手当とは
日々の業務で職員の皆さんから手続きの相談を受けることが多い手当の一つに「扶養手当」があります。「子どもが生まれた!」「家族のパート収入が変わったけれど手当はどうなる?」など、ライフスタイルの変化に直結する大切な制度です。
扶養手当は、扶養親族を有する職員の生計費の増嵩を補給しようとするもので、経済の変動に伴い左右される生活給的な性質を有する給与です。
ちなみに、「扶養」という言葉は以下の3パターンで使われており、誤った認識をされている方が非常に多いので整理しておきます。
- 扶養手当・・・毎月の給与で支給される手当←今回はこれを説明します!
- 共済の扶養・・・共済(社会保険)の扶養で、被扶養者(扶養される方)に年金の積立や病院で使う保険証の発行対象となります。
- 税の扶養・・・年末調整時の配偶者控除や扶養控除等を指し、年収から控除することで所得税や住民税を抑えることができます。
扶養手当の支給対象と手当額
.jpeg)
令和6年度人事院勧告により、令和8年度から配偶者の扶養手当はなくなり、子の扶養手当は13,000円に増額されます。
【配偶者の扶養手当】
令和6年度まで・・・6,500円
令和7年度・・・3,000円
令和8年度以降・・・0円
【子の扶養手当】
令和6年度まで・・・10,000円
令和7年度・・・11,500円
令和8年度以降・・・13,000円
※特定加算5,000円・・・満15歳年度末の翌日〜満22歳年度末の間の子については、5,000円を加算するもの。

専業主婦(夫)にとっては厳しい状況です・・・労働力を求める時代になっていることを実感します。
逆に、子どもへの手厚さは増しており、夫婦共働き子育て世帯にはありがたいですね!また、教育費がかかる高校生から大学生の間は加算がありますね!
扶養手当は毎月の給与だけでなく、期末手当にも影響します・・・
詳細は期末勤勉手当の解説で触れますね!
所得制限に注意
「家族を扶養に入れたい!」と思っても、無条件に対象になるわけではありません。給与担当として一番確認に気を使うのが、この「所得制限」です。
- 扶養親族として認定されるには、年額1,300,000円以上の恒常的な所得がないことが条件となります。※毎月恒常的に108,334円(1,300,000円の12分の1)以上が見込まれる場合、その間は外れる場合があります。
- 民間企業などで働き、すでに別の扶養手当に相当する手当を受け取っている場合も支給対象外となります。
- 共済組合における被扶養者の所得制限(年金受給者等の場合1,800,000円)とは異なり、扶養手当上の所得制限は一律で年額1,300,000円となります。
”扶養手当”の条件=”共済の扶養”の条件
基本的にはセットで認定されます。ただし、上記の3点目のような年金受給者の場合は所得上限の考え方は異なります。また、75歳以上の後期高齢者は共済の扶養から外れるため、扶養手当のみ認定されるケースもあります。
家族がパートやアルバイトを始める際は、この「年額130万円」のラインを意識しておくことが非常に重要です。
申請に必要な手続き
扶養手当は自動的に支給されるものではありません。条件を満たした場合は、事実発生日から15日以内に給与担当部署へ届出を行ってください。
15日を経過した後で届出した場合、本来支給されるべき月の分が支給されない場合があります。私の市役所では、扶養手当を過去に遡って支給することはしません。逆に、扶養を外す際に、届出が遅れた場合には過去に遡って扶養手当を戻入(返してもらう)していますので注意してください。
<手続きに必要なもの>
①扶養親族届
各自治体の指定様式に必要事項を記入
②所得証明書・・・誰を扶養するかによって変わる
◯子を扶養する場合
・自身
・配偶者
・扶養対象となる子
◯親を扶養する場合
・自身
・両親(年金を受給している場合は年金額がわかるものも必要)
③住民票・・・続柄を確認するため
注意:令和8年度から配偶者への扶養手当はなくなります。
支給の始期
扶養する要件をクリアした日が事実発生日となります。
例)子供が生まれた日、親が退職した日の翌日 など
①事実発生日が1日(月の初日)の場合
当月(事実発生日の属する月)から支給開始されます。
例1)3月1日に子供が生まれた → 3月給与から支給開始
例2)3月31日に子供が退職し、無職で失業保険を受給しない場合(4月1日から恒常的な収入がない)
→ 4月給与から支給開始
②事実発生日が1日以降の場合
翌月(事実発生日の属する翌月)から支給開始
例1)5月2日に子供が生まれた → 6月給与から支給開始
例2)6月15日に子供が退職し、無職で失業保険を受給しない場合(6月16日から恒常的な収入がない)
→ 7月給与から支給開始
<注意!> 事実発生日から15日を経過して届出された場合、不利になるケースがあります。【15日ルール】
事実発生日から15日を経過して届出した場合
①届出を受理された日が1日(月の初日)の場合
当月(届出を受理された日の属する月)から支給開始されます。
例 8月10日に子供が生まれ、9月1日に届出した
→ 9月給与から支給開始
②届出を受理された日が1日以降の場合
翌月(届出を受理された日の属する翌月)から支給開始されます。
例 10月10日に子供が生まれ、11月3日に届出した
→ 12月給与から支給開始
届出した月(11月)の翌月(12月)から支給開始になります!
給与担当が教える損しないための方法
ここまで扶養手当について解説しましたが、実は損している人も見ます。
本人に直接言わないですが、
・親を扶養にとったら手当もらえるのに、もったいないなー
・今の生計の状況から孫を扶養にとれるんじゃないかな?
・子供の扶養を妻(職員側)でとれば手当もらえるのになー
職員の給与や配偶者の所得状況をある程度把握できる給与担当だから気が付くことが意外と多いです。
特に親を扶養にとれるケースはよくあります。
※令和7年度までは育児休業中の配偶者(育休手当金の額による)も紹介できたのですが、令和8年度から配偶者の扶養手当がなくなります・・・
例)別居している66歳の実母がいて、収入は年金のみで年間120万円受給しています。(父はおらず、他に収入はない)
→ 扶養にとれます!!
月額6,500円支給されます。また、期末手当も多少増額します。
<解説>
まず、実母は支給対象になります。また、収入要件である年間130万円以内もクリアしています。
「別居」していても、職員自身が主たる扶養者であることを証明することで要件を満たすことができます。具体的には定期的に仕送りする必要があります。
具体的な仕送額は扶養対象者の
年間収入 × 1/2 ÷ 12月(千円未満切捨)
※35,000円に満たない場合は、35,000円を最低額とします
→ この基準は共済の扶養に準じているため、各自治体で加入されている共済組合によって変わるかもしれません。
今回の例では、
1,200,000円 × 1/2 ÷ 12月 = 50,000円
1月あたり50,000円仕送りすることで職員が「主たる扶養者」として認められます。
このように、少し手間はかかりますが、
6,500円/月 + 期末手当の増額分 = 年間78,000円+α得することができます!
さらに言うと、別居の母が自身で国民健康保険に加入している場合、共済の扶養にとることで、その保険料も0円になりますので、お母さんも得します!
さらに、税の扶養にとることで、職員の所得税・住民税を抑えることができます。
今回のケースでは、480,000円の所得控除を受けられますので、仮に職員の年収600万円で所得税率10%だとすると、所得税であれば48,000円減額できます。
まとめると、今回のケースでは
職員:年間126,000円以上 得する!!
母 :少なくても年間100,000円以上 得する!!

知らないと損しますね!!
少しの手間でこれだけのメリットが得られるので、みなさんも家族の状況を確認してみましょう!
まとめ
扶養手当は、職員の生活を支える重要な制度です。一方で、所得制限の確認や毎年の変更点など、意外と複雑な側面もあります。家族の働き方が変わった時や、新しく子どもが生まれた時は、忘れずに必要書類を揃えて給与担当までご相談ください!

