給料・手当

【2026年最新】公務員の退職金はいくら?計算方法・支給率早見表・賢い活用法を給与担当が完全解説

公務員の退職金はいくら?計算方法と賢い活用法を解説|公務員の給与・福利厚生や資産形成の教科書
wh3603

📌 この記事でわかること

  • ✅ 公務員(地方公務員)の退職金の計算方法
  • ✅ 勤続年数別の退職金シミュレーション
  • ✅ 退職金にかかる税金と節税のポイント
  • ✅ 除算期間(休職が退職金に与える影響)

自分の退職金がいくらになるか、正確に計算できますか?

退職金は人生最大の収入のひとつ。正しく計算できれば、老後の資産形成計画も立てやすくなります。この記事では計算式から賢い活用法まで一括解説します!

💼 公務員の退職金(退職手当)とは?

退職手当の基本的な仕組み

公務員の退職金は正式には「退職手当」と呼ばれ、「退職手当法」や各自治体の「退職手当条例」に基づいて支給されます。

🏛️ 退職手当の基本情報

  • 根拠法令:国家公務員退職手当法・各自治体退職手当条例
  • 支給時期:退職日から1ヶ月以内が一般的
  • 課税区分:退職所得(分離課税)

民間企業の退職金との違い

🏛️

公務員

  • 法律・条例で保証(義務)
  • 計算方式が明確
  • 平均約2,000万円
  • 安定した支給額

🏢

民間企業

  • 就業規則(任意)
  • 会社によって大きく差がある
  • 平均約1,000〜1,500万円
  • 倒産リスクあり

公務員の退職手当は条例で定められているため、会社都合で急に減額されることがありません。この「安心感」は公務員の大きなメリットのひとつです。

🧮 公務員の退職金の計算方法【給与担当が完全解説】

退職手当は以下の計算式で算出されます。

💰 退職手当の基本計算式

退職手当 = 基本額 + 調整額

基本額 = 退職日の給料月額 × 支給率

① 支給率とは?退職理由で大きく変わる

支給率は退職理由勤続年数によって決まります。同じ勤続年数でも退職理由によって大きく異なります。

🏁

定年退職

支給率
最大
47.709ヶ月分

🤝

勧奨退職

支給率
高い
定年に準じる

🚶

自己都合退職

支給率
低い
約20〜25%減

定年退職の勤続年数別支給率(国家公務員基準)

勤続年数 支給率(月数) 適用法条 備考
10年 8.370 法第3条 11年未満は大幅に低い
15年 16.2169 法第4条 11年から法第4条適用
20年 24.5869 法第4条 このあたりから急増
25年 33.2708 法第5条 25年から法第5条適用
30年 40.8038 法第5条  
35年(定年) 47.709 法第5条 最大値(35年以上は上限)
📌 適用法条のポイント
定年退職時の勤続年数によって適用される法条が変わります:
1〜10年:法第3条
11〜24年:法第4条
25年以上:法第5条

※国家公務員退職手当法の基準(平成30年1月1日以降)。自治体によって若干異なる場合があります。

📋 国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降)【完全版】

凡例(適用法条):
🟡 自己都合退職(法第3条)
🟢 定年・応募認定・公務災害等(法第3条/勤続1〜10年)
🔵 定年・応募認定・公務外傷病等(法第4条/勤続11〜24年)
🔴 定年・応募認定・公務災害等(法第5条/勤続25年以上)
💡 この表の見方
定年退職・勧奨退職・応募認定退職の場合、勤続年数によって適用される法条が変わります。自分の勤続年数に対応する列(法第3条/第4条/第5条のいずれか)を見てください。自己都合退職はどの勤続年数でも「自己都合退職(法第3条)」の列を見ます。

勤続
年数
法第3条 法第4条 法第5条
自己都合退職
(全勤続年数)
定年・応募認定・
公務災害等
(1〜10年)
定年・応募認定・
公務外傷病等
(11〜24年)
定年・応募認定・
公務災害等
(25年以上)
1年 0.5022 0.837
2年 1.0044 1.674
3年 1.5066 2.511
4年 2.0088 3.348
5年 2.511 4.185
6年 3.0132 5.022
7年 3.5154 5.859
8年 4.0176 6.696
9年 4.5198 7.533
10年 5.022 8.370
11年 7.43256 11.613375
12年 8.16912 12.76425
13年 8.90568 13.915125
14年 9.64224 15.066
15年 10.3788 16.216875
16年 12.88143 17.890875
17年 14.08671 19.564875
18年 15.29199 21.238875
19年 16.49727 22.912875
20年 19.6695 24.586875
21年 21.3435 26.260875
22年 23.0175 27.934875
23年 24.6915 29.608875
24年 26.3655 31.282875
25年 28.0395 33.27075
26年 29.3787 34.77735
27年 30.7179 36.28395
28年 32.0571 37.79055
29年 33.3963 39.29715
30年 34.7355 40.80375
31年 35.7399 42.31035
32年 36.7443 43.81695
33年 37.7487 45.32355
34年 38.7531 46.83015
35年 39.7575 47.709
36年 40.7619 47.709
37年 41.7663 47.709
38年 42.7707 47.709
39年 43.7751 47.709
40年 44.7795 47.709
41年 45.7839 47.709
42年 46.7883 47.709
43年 47.709 47.709
44年 47.709 47.709
45年 47.709 47.709

出典:国家公務員退職手当支給率早見表(平成30年1月1日以降の退職)

🟡 自己都合退職の注意点

11年目から支給率の計算方法が変わり、10年目(5.022)→11年目(7.433)と急増。ただし定年と比べると常に低水準です。

🟢 定年まで勤めると最大

35〜45年で支給率は上限の47.709ヶ月分に達します。35年以上は変わりません。

🔵 法第4条は25年で収束

25年以上の勤続で法第4条の支給率は法第3条(定年等)と同額になります。

🔴 法第5条は最高水準

早期退職・公務上死亡等は最も手厚い支給率。35年以上で他の区分と同額の47.709になります。

② 調整額とは?

調整額は勤続中の職責・役職に応じた加算額です。各年度の「調整月額」(役職別に設定)を積み上げて計算します。

📊 調整月額のイメージ(例)

 
 
 
 

 4級     (一般職)
20,000円

5級  (係長級)
30,000円

  6級     (課長級)
40,000円

7級    (部長級)
55,000円

⚠️ 調整額のポイント

  • 最高60月分(5年分)まで積み上げ可能
  • 等級が高い(課長・部長級等)ほど調整月額が高くなる
  • 退職時に過去を遡って等級が高い60月分を採用します。

③ 実際に計算してみよう!シミュレーション例

📝 計算例:Aさんの場合(定年退職・勤続35年、7級3年、6級2年)

退職時の給料月額 380,000円
勤続年数 35年
退職理由 定年退職
支給率 47.709
基本額 380,000円 × 47.709 = 18,129,420円
調整額(上記例)

(55,000円×36月分)+(40,000円×24月分)=2,940,000円

退職手当合計 21,069,420円

🔍 支給率47.709の内訳(勤続年数区分ごとの計算)

多くの自治体の退職手当条例では、勤続年数を区分して以下の割合を乗じた合計月数を支給率とします(付則の乗率83.7%適用)。

勤続年数の区分 該当年数 乗率 小計(月数)
1年〜10年 10年 150/100 10 × 1.50 = 15.00月
11年〜25年 15年 165/100 15 × 1.65 = 24.75月
26年〜34年 9年 180/100 9 × 1.80 = 16.20月
35年以上 1年 105/100 1 × 1.05 = 1.05月
小計 57.00月
× 付則乗率 83.7% 57.00 × 0.837 = 47.709月

基本額 = 380,000円 × 47.709 = 18,129,420円

「支給率47.709月って何?」とよく聞かれますが、勤続年数を区分ごとに分けて計算した月数の合計です。上の内訳を見ると、26〜34年の区間が180%と最も乗率が高く、ここを頑張って積み上げることが退職金を増やすポイントです。

📈 勤続年数別の退職金シミュレーション一覧

給料月額を350,000円と仮定した場合のシミュレーションです(調整額除く)。

勤続年数 退職理由 支給率 退職金(概算)
10年 自己都合 6.48 約227万円
15年 自己都合 11.82 約414万円
20年 自己都合 19.67 約689万円
20年 定年・勧奨(法第4条) 24.5869 約860万円
25年 定年・勧奨(法第5条) 33.2708 約1,165万円
30年 定年・勧奨(法第5条) 40.8038 約1,428万円
35年 定年退職(法第5条) 47.709 約1,870万円

自己都合退職と定年退職では、同じ勤続20年でも約141万円の差があります。転職・早期退職を検討する場合は、退職金の差額もしっかり計算しておきましょう。

💴 退職金にかかる税金と節税のポイント

退職金は退職所得として分離課税されます。通常の給与と比べて非常に有利な税制が適用されます。

退職所得控除の計算方法

STEP 1
退職所得控除額を計算する
勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(最低80万円)
勤続20年超:800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)

STEP 2
課税退職所得を計算する
(退職金 − 退職所得控除額)× 1/2

STEP 3
税額を計算する
課税退職所得 × 所得税率 → 所得税
課税退職所得 × 10% → 住民税

実際の税額計算例

📝 Aさんの税額計算(勤続35年・退職金1,870万円)

① 退職所得控除額 800万円 + 70万円 × 15年 = 1,850万円
② 課税退職所得 (1,870万円 − 1,850万円)× 1/2 = 10万円
③ 所得税 10万円 × 5% = 5,000円
④ 住民税 10万円 × 10% = 10,000円
税負担合計 わずか15,000円!

✅ 退職金の税制は超優遇

上記の例であれば、1,870万円の退職金に対してわずか1.5万円程度しか税金がかかりません。通常の給与収入なら数百万円の税負担になるところを、退職所得控除のおかげで劇的に節税できます。

📌 除算期間とは?休職が退職金に与える影響

休職経験がある職員にとって重要なポイントが「除算期間」です。一定の休職・停職期間は、退職手当の計算基礎となる勤続期間から一定割合が差し引かれ(除算)、退職金が減少する場合があります。

📖 除算とは?

休職・停職等の期間がある場合、その一定割合を勤続期間から控除する制度です。休職の種類によって「全通算(差し引きなし)」「3分の1除算」「2分の1除算」「全除算」に分かれます。同じ在職期間でも休職の種類で退職金が大きく変わります。

【休職種類別】主な除算の割合一覧

休職等の種類 除算の割合 勤続期間への影響
公務上の傷病による休職 全通算 差し引きなし(全額カウント)
通勤による傷病による休職 全通算 差し引きなし(全額カウント)
民間企業への交流派遣 全通算 差し引きなし(全額カウント)
育児休業(子が1歳未満) 3分の1除算 休業期間の1/3を差し引く
育児休業(子が1歳以上) 2分の1除算 休業期間の1/2を差し引く
病気休職(公務外・私傷病) 2分の1除算 休職期間の1/2を差し引く
懲戒による停職 2分の1除算 停職期間の1/2を差し引く
配偶者同行休業 全除算 休業期間の全てを差し引く
自己啓発等休業(公務外) 全除算 休業期間の全てを差し引く

※国家公務員退職手当法第7条第4項・施行令第6条第3項等に基づく。自治体職員は各条例による(内容はほぼ同様)。

【具体例①】公務外病気休職12ヶ月がある場合(2分の1除算)

📝 Bさんの場合:実在職35年・うち公務外病気休職12ヶ月

実際の在職期間 35年0ヶ月
公務外病気休職期間 12ヶ月(2分の1除算)
除算月数 12ヶ月 × 1/2 = 6ヶ月
計算上の勤続期間 35年0ヶ月 − 6ヶ月 = 34年6ヶ月 → 34年(端数切捨て)
影響 35年の支給率ではなく34年の支給率が適用される

給料月額380,000円の場合、勤続34年と35年の差額:
(47.709 − 46.604)× 380,000円 ≒ 約42万円の差が生じます。

【具体例②】育児休業2年がある場合(3分の1・2分の1の混合除算)

📝 Cさんの場合:実在職35年・うち育児休業24ヶ月

子が0歳の育児休業 12ヶ月(3分の1除算)→ 12 × 1/3 = 4ヶ月除算
子が1歳以降の育児休業 12ヶ月(2分の1除算)→ 12 × 1/2 = 6ヶ月除算
合計除算月数 4ヶ月 + 6ヶ月 = 10ヶ月
計算上の勤続期間 35年0ヶ月 − 10ヶ月 = 34年2ヶ月 → 34年(端数切捨て)
影響 34年の支給率が適用(35年より低い)

【具体例③】公務上の傷病休職がある場合(除算なし・全通算)

📝 Dさんの場合:実在職35年・うち公務上傷病休職12ヶ月

実際の在職期間 35年0ヶ月
公務上傷病休職 12ヶ月(全通算=除算なし)
計算上の勤続期間 35年0ヶ月のまま(除算されない)
影響 休職があっても退職金は一切減らない

公務上の傷病は職員の責によらないため、退職手当上は全期間通算されます。

⚠️ 注意点

  • 除算は「1ヶ月未満の端数は切り上げ」で除算月数を計算し、最終的な勤続期間の1年未満の端数を切り捨てます。
  • 育児休業については子の年齢が変わる月を境に除算率が変わるため、月単位での精緻な計算が必要です。
  • 自治体によって条例の細部が異なる場合があります。必ず所属の給与担当部署に確認してください。

❓ よくある質問(Q&A)

Q. 退職金は必ずもらえますか?

A. 公務員の場合、法律・条例に基づくため原則として必ずもらえます。ただし懲戒免職の場合は支給されない(または減額される)ことがあります。

Q. 自己都合退職と定年退職では退職金はどのくらい違いますか?

A. 勤続35年の場合、自己都合退職の支給率は自治体によりますが定年の47.709月より約20〜25%少なくなります。定年まで勤めることが経済的には大きく有利です。

Q. 退職金を受け取ったら確定申告は必要ですか?

A. 勤務先に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、源泉徴収で課税関係が完結するため原則として確定申告は不要です。

Q. 早期退職すると退職金はどのくらい減りますか?

A. 勤続25年の自己都合退職と勤続35年の定年退職を比べると、退職金は1,000万円以上の差が生じることもあります。早期退職はキャリアだけでなく退職金への影響も考慮しましょう。ただし、自治体によっては早期退職制度によって、支給率が定年退職と同じ扱いになったり、そこからさらに割増率がある場合があります

📝 まとめ

✅ この記事のまとめ

  • 公務員の退職金は「給料月額 × 支給率 + 調整額」で計算する
  • 定年退職(35年)なら約1,800〜2,300万円が相場
  • 退職所得控除が手厚く、税負担はごくわずかで済む
  • 休職歴がある場合は除算期間を必ず確認する
  • 自己都合退職は支給率が大幅に低いためタイミングに注意

退職金は一度きりの大きなお金です。計算方法を正しく理解し、賢く活用することで老後の安心につながります。

給与担当として15年間、数多くの職員の退職手当計算に携わってきた私が断言できるのは、「退職金を知ることが老後設計の第一歩」だということです。

ぜひ除算期間の確認と勤続年数の把握から、退職後の安心設計を始めてみてください!

※免責事項:本記事の情報は執筆時点(2026年4月)のものです。退職手当の支給率や税制は改正される場合があります。実際の退職手当額は勤務先の人事・給与担当へお問い合わせください。また、投資は元本割れのリスクがあります。

関連記事

▶ この記事を書いた人(運営者情報)

ABOUT ME
ダッチ
ダッチ
公務員ブロガー
市役所15年勤務のうち給与厚生担当を5年経験。リベ大で日々マネーリテラシーを研鑽しています。公務員のマネーリテラシーを上げる記事を掲載します。
記事URLをコピーしました